今回のゲストは、 岐阜県郡上市を拠点に、わらべ唄を始めとする土地に生きる唄の聞き取りと伝承をライフワークとする唄い手の井上博斗さんです。
これまでの主な活動に、「郡上八幡音楽祭」の主催や「町家オイデナーレ」の企画などもあります。第47回にご出演頂いたチョモランマ山下さんからのご紹介です。
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現在の活動
現在の主な活動は以下の3つ。
『ツアー案内人』として、企業のワーケーションなど外部から来られた方に対して長良川流域の歴史や地域の唄、森林浴コースなどを案内する役。
郷土の歴史をオンライン上で紹介・発信する『 郡上藩江戸蔵屋敷 』という郡上市が運用するインターネット上の概念の運営。
この土地の民謡やわらべ唄をお年寄りから聞き取りし、子育てサークルで子供たちや同世代の親、余所の方などに紹介する活動。
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活動の経緯
高校までは香川で育つ。芸術大学に進学しアートプロジェクトなどを勉強する中で、「これまで出会った中で一番凄い」と思えるプロの音楽家の舞台に出会う。
そのアーティストの方を追いかけたら郡上に住まわれていた。何年か通った後にその方の家に2010年から住み込みで学ぶことになって郡上に移住する。
「プロの芸能も大事だけれど、足元の土地の人がやっている唄や暮らしも大事だ」という教えを受けて、土地の人のわらべ唄を聴き取る活動を始めた。
土地に伝わる唄の聞き取りをする上で、その背景となる歴史にもどんどん詳しくなって行き、今につながっている。
2046年に関する4つの質問
Q1. どこに住んでいたいですか?
「今と同じ場所、川の中流域に住んでいたい。」
Q2. 今の取組みがどうなっていたら良いですか?
「珍しいものじゃなくてスタンダード化していて欲しい。」
Q3. 最も理想的な世の中はどうなっていますか?
「子供がはしゃいでいる(大人もチャイルド意識を開花している)。」
Q4. お迎えが来ました。死ぬ間際にひと言どうぞ!
「もう!?」
2046に向けて
自身の心の赴くまま、関心のあることを突き詰めて行く姿勢がいまの井上さんの立っている場所を形作り、これから先の未来も同じように切り開かれて行くのを感じます。わらべ唄が今後子供たちの教育の中にどう入っていくかが楽しみです。
アフタートークより
肩書きの「トランス・ナヴィゲーター」は井上さんが独自に創られた言葉だそうです。
それは例えば、古代や中世や近現代の人がどのように暮らしてきたかという感覚と共に唄を紹介することで、時代を一気にトランス(超越)してナビゲートすること。また、芸能やアートといったジャンルを越境してナビゲートするというトランスも含んでいるそうです。
郡上の盆踊りも昼から夜、夜から朝と時間がトランスするので、そういった「感覚の世界をどこまで越境していくか?」をナビゲートするのが自分の仕事だという認識のもと、『トランスナビゲーター』という肩書きを名乗られているとのことです。
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くろだ の ひとこと
先のことを考えたり将来の計画を練って動いてきたわけではなく、「“これ堪らないよね”という悦楽に溺れて常にno futureで動いている。」と語る井上さんの、自分の内から湧き出る願望に正直な生き方がとても印象的でした。
際限の無い好奇心を持つ在野の研究者が、今後もただひたすらに好きなことをして生きて行くといったいどこにたどり着くのか?とても楽しみな方に出会ってしまいました。
●井上博斗さん関連リンク
【Twitter】
https://twitter.com/inouehirotix
【facebook】
https://ja-jp.facebook.com/hiroto.inoue.1650
【郡上藩江戸蔵屋敷 公式サイト】
https://edokura.net/
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