今回のゲストは、 旅をしながら旅の本を売り歩く[放浪書房]の富永浩通さんです。 いくつかの小商いを組み合わせて商売をするまさに“商いの達人”です★
現在の活動
千葉を拠点に、一年の三分の二を全国を旅して商売している。
旅しながら旅の本を売る『放浪書房』をきっかけに小商いをはじめ、いくつかの商いを組み合わせて商売を成り立たせている。
ひとつは、昔のアンティークな広告の本物を1枚1枚手作りでシールにしてバイキング形式で販売している『タイムアドベンチャーレコード』という小商い。
さらに、自ら路上で商いをする上で得たノウハウを注ぎ込んで開発した小商い専門の屋台『コアキーナ』のレンタルと販売。
そして、それらの商いをしながら日々気付いた商いの本質を語るトークイベントを行う『語り商い』。
いくつもの草鞋を履きつつ、常に『小商い』を軸に活動をしている。
活動の経緯
好きで買い集めていた旅の本を革のトランクに詰めて、京都の鴨川で売り始めたのが『放浪書房』の始まり。「京都で初めていなければ今ごろ続いていない」と語るほど、スタート地点が京都だったことが長く続いたきっかけとなった。
京都は日本中から人や文化が集まっており、いろんなものを面白がる土壌があった。おもしろいことをやっている人を応援するために”商い”があることをよく分かっている人が多くて、投げ銭のつもりで本を買ってくれた。そういう意味ですごく感度の高いお客さんが多かった。
さらに幸運なことに、路上で販売を初めて3人目のお客さんが地元テレビ局のディレクターさんで、誘われていきなりテレビ番組で出演させて貰った。それを見たお客さんが結構来てくれた。
そんなこともあり、ギリギリ節約して1週間程度滞在できるくらいのお金しか持って行っていなかったにも関わらず、結果的に3週間も京都で商売をすることができた。はじめての商いで京都を選び、うまく流れに乗れたことが大きかった。
その後、縁あって2011年に東急ハンズ梅田店さんがオープンする際に、放浪書房のコーナーを設けてもらった。担当者さんが、当時集めていたアンティークの紙モノを「売ってみたら?」と言ってくれ、東急ハンズさんで売らせて頂けることになり、それがきっかけでアンティークシールバイキングの商いも育っていった。
2046年に関する4つの質問
Q1. どこに住みたいですか?
「日本中旅しているので場所の感覚がもうない。その時々自分が居る場所を素敵な場所にしたい。」
Q2. 何していたいですか?
「いまのように小さな商いをずっとしていたい。」
Q3. 働き方について(ベーシーックインカムがある場合)
「いりません!」
Q4. 変わって欲しくないこと
「人と人が対面してモノを売り買いする文化を残していきたい」
2046に向けて
いま自分が好きなことをやっていても誰から文句を言われないのは、自分のお金ではじめて自分の責任のなかで好きなことをやっているから。例えばもし、みんなから集めた税金からお金を貰っていたら、きっと何らかの制限や批判がついて自分の自由を狭めてしまうと思う。
お金は生きる上で絶対に必要なものだから、それを得る手段を誰かに任せることはとても危険な事だと思う。きっとだれかの言うことを聞かなきゃいけなくなる。それはベーシックインカムといっても同じだろうし、気をつけた方が良いかなと思う。
僕が『小商い』でやっていることは、「これで誰が喜んでくれるのかなぁ?…と思いながらも、自分が大好きで仕方のないこと」を商いにしている。自分が本当に好きなことをやり続けていくためにそれを経済活動にするのが『小商い』だ。
だから、小商いが存在することが許される世の中は、マイノリティ(社会的少数者)の人たちも自分らしい生き方ができる世の中だと思う。『小商い』ではたくさん稼げないかもしれないけれど、好きなことをして生きていくことができるので、『小商い』は社会の“懐の広さ”や“文化の広さ”だと思う。
景気は文字通り“気”なのだけれど、このコロナ下で全国を回って商いをした中で感じたことがある。売上自体は落ちていないけれど、肌感覚で感じるお客さんの「気」は下がってしまっている。コロナを通じて社会が全体の”空気”で動くようになってしまった。すると今後も何かあるごとに社会全体の「気」は下がり、景気は落ち込んで『小商い』が出来なくなる。
僕たち商いをやっている人間は、そうならないように「気」をつくって行かないといけないなと思っている。
おかやま の ひとこと
ただただ明るい方なのかなと思いきや、エッジの効いた思想とその思想から発せられる行動とプロジェクト。痛快であり、クレバーであり、お茶目であり、しっかり歩みを踏んでいくそんな方でした。後日、どい書店にも来てくださり、しっかりお話ができて、超、楽しかったです。
くろだ の ひとこと
「自分の好きなことを仕事にして生きていく」というと、絵空事や夢物語のように聞こえるかもしれません。でも逆に考えてみると、「自分が好きなことをして生きて行くことが出来ない社会」がもし人生の本質であるならば、人生というものはとても退屈で苦痛なものになってしまうと思います。僕は人生とは前者であって欲しいと願います。
『小商い』が成り立つ社会。世の中が少しでもそういう方向に向かっていくように、小商いに携わる者の一人として、僕も「気」をつくって行く小商人(こあきんど)になれたらと思わされた話でした。
関連サイト
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